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記憶_2015_08_21_08:29

蝸滄浹辷セ


「兄様の眼って、澄んだ海のような綺麗な色で素敵です」



「……爾?」



(あなたはゆっくりとコウに近づき、壁際まで追い込んでいく)



「……爾、どうしたんですか?」




「ねえ兄様、もしも私がその眼を欲しいと言ったら、」



(壁に背をつけたコウの顎を手で軽く引き、目と目を合わせる)



「爾、話を聞きなさい!」



(彼の怯えた表情が嬉しくてたまらなくなる)





「この忌々しい赤い眼と、交換してくださいますか?」





(あなたがそう言い終わると同時に、コウが呻き声を上げながら右目を抑え始める)



(苦しそうな表情を浮かべながら、ずりずりと床にへたり込んでいく)



(あなたのことを見上げ、まだ僅かに開いている左目で必死に睨みつけてくる)




(彼の一つ一つの動作がとても愚かで、同時に愛おしく感じる)




「コウ……ずっと、ずっとそのかわいい姿を僕に見せて。約束だよ?」




(あなたの声を聞いた彼は、そのままゆっくりと意識を飛ばした)





© 2024 笹崎

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